そんなお前が好きだった142

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 東と井原の話に元気も割り込んだ。
「あの熱量には頭が下がるわ。青春真っ只中、すばらしい!」
「負けんなよ、井原、青春のやり直しなんだろ?」
「引っ越し、明後日、約束したけど、響さん、来てくれるんかな…」
 元気に茶化された井原はまた気弱な台詞を吐く。
「ある意味、そこで答えが出るかも」
 またしても元気の言葉が井原の胸に刺さりまくる。
「っ…くっそ、恋愛も順風満帆ってか? 元気、いい加減彼女紹介しろよ」
「ああ、引っ越し、連れてくわ、役に立つぞ、きっと」
 笑う元気を、井原はフンと睨みつけた。
 引っ越しに響が来るかどうか、確かめるのに、井原は直接声を聴くのが怖くなり、ラインを送った。
 十分ほどドキドキしながら返事を待っていた井原の携帯からラインの通知音が聞こえた。
 十時に行きます。
 たった一行の返事に、井原は小躍りして喜んだ。
 元気のきつい言葉は身に染みたが、響のお断りが、荒川のせいだと思いたかった。
 今度こそ、失敗はしない。
 第一、引っ越しにしても、要は響と二人で会いたいという単純な目的のためといっても過言ではなかった。
 それを言ったら、元気に鼻で笑われそうなので、口にはしなかったのだが。
 それに実家では本で一部屋が埋まるほどだし、独立しないで親のうちにいつまでも居候をするわけにはいかない、というのは、アメリカ生活で嫌というほど周りから言われて、井原もそれには同意だったからだ。
 この街もそうだが、田舎ほど、親の家に同居するのが当たり前のような風潮があるが、一人で十年を暮らしてきた井原からすると、依存家族のような気がして、誰の人生を生きているのかわからない。
 まあ、東のような仕事を選ぶと、手っ取り早く親にスポンサーになってもらうのが妥当かも知れないが。
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